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自律訓練法は、心身をリラックスさせることで、心身のバランスの回復や健康増進に
役立てていく治療法です。
1900年の前半、ドイツの精神科医シュルツが、催眠の研究を元にして自律訓練法を作り上げました。
私たちの身体をつかさどる自律神経は、交感神経と副交感神経からなっています。
外界からの刺激に自律神経系は反応し、生体内のホルモンなどを制御します。
交感神経は、心拍数と血圧を上げ、消化管の働きを抑えて身体を活動モードにします。
副交感神経は、心拍数や血圧を下げ、消化管の分泌を活発にして身体を休息モードにします。
そして、これら自律神経は、身体を構成する60兆個すべての細胞の働きを調整しているのです。
ふつう、交感神経と副交感神経は、シーソーのようにバランスをとって身体を安定した状態に
保っています。
ところが、ストレスが長期間に及ぶとそれが自律神経に波及し、交感神経だけが
緊張するようになります。
交感神経の継続的で過剰な緊張は、全身の細胞に波及して障害を起こします。
自律訓練法は、交感神経優位の緊張した状態をといて、副交感神経優位の
リラックスした状態を得ることを一つの目的としています。
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目次
| 1.自律訓練法の一般的な効果 |
7.自律訓練法の練習方法 |
| 2.自律訓練法を始める前に |
8.消去動作は必ず行ってください |
| 3.自律訓練法の公式 |
9.回数の目安と流れ |
| 4.禁忌症 |
10.慣れてきたら |
| 5.自律訓練法を始めるための心がけ |
11.オプションについて |
| 6.姿勢の作り方 |
★ あとがき ★最後に |
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● 疲労の回復
● 過敏状態の沈静化
● 自己統制力が増し、衝動的行動が少なくなる
● 身体の痛みや精神的な苦痛の緩和
● 向上心が増す
ほかにも、自律神経失調症、パニック障害、不安障害、高血圧、気管支喘息、頭痛、腰痛、
肩こり、不眠、アレルギー疾患、その他慢性疾患など。
自律訓練法には自己治癒能力を高める効果があり、症状にあった練習をすれば多くの症状に
効果があると言われています。
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1. 自律訓練法の練習はとても簡単です。
しかし、自己練習が中心ですので、治療意欲、継続する意思が必要となります。
2. 練習で注意を向けるときに、意気込んで緊張しないようにしましょう。
マイナスのイメージを捨てて頭をなるだけからっぽにし、心の中で公式を繰り返します。
リラックスした状態で、関連する部位の身体の感覚を受け入れて、その変化に気づきましょう。
3. 第一〜第六公式までありますが、慣れるまでは、第一〜第二公式を行いましょう。
4. 忙しい日でも、なるべく1、2回は行いましょう。
5. 1回の練習時間は、2〜3分以下です。それを、2、3回繰り返します。
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《 背景公式 》 気持ちが落ち着いている
《 基本公式 》
第一公式 両腕両脚が重たい
第二公式 両腕両脚が温かい
第三公式 心臓が規則正しく打っている
第四公式 とても楽に呼吸をしている
第五公式 お腹が温かい
第六公式 額が涼しい
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一般的には、2、3ヶ月で効果が現れると言われていますが、
開始当日から効果を感じる方もいます。
まれに、100%中、2%程度ですが、効果が実感できない方もいます。
しかし、効果が実感できないからよくないということではなく、
効果が現れない方にもいいものとされています。
効果は人それぞれ違います。あせらずに続けてください。
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心筋梗塞の患者、糖尿病患者で長期監視が不可能なとき、低血糖を起こす患者、
被害妄想や誇大妄想を示す患者、各精神病の急性期や増悪期、練習中に有害な反応が出る方。
このような方には自律訓練法は適しません。
禁忌症以外の方には、まず副作用はありません。
次の疾患を持っていてそれを不安に思う方は、前もって該当する公式を外して進めましょう。
練習をしていてどうしてもつらいような場合は、消去動作をして深呼吸してください。
第一公式では、肩こり
第二公式では、皮膚掻痒症
第三公式では、循環器疾患、心臓機能異常
第四公式では、呼吸器系疾患
第五公式では、出血性の消化器疾患、糖尿病
第六公式では、頭痛、偏頭痛、脳損傷など脳に既往症のある場合、気管支喘息
※ なお、非適応症として、極端に積極的な方、完全欲・依存傾向の強い方、
治療意欲の乏しい方、性格のゆがみの強い方などは、ドロップアウトしやすいので
注意が必要とされています。
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(1)なるべく静かな場所を選びましょう。
慣れてくれば、電車の中、会社など、環境にそれほど左右されることなく行えます。
では、自律訓練法のトレーニングを始めます。
呼吸を整えていきます。呼吸は、腹式呼吸で、鼻から息を吸って、口から吐きます。
この時、新鮮な空気をいっぱいに吸って、悪いものを吐き出す気持ちで行います。
大きく、深呼吸をします もう一度 、深呼吸をします。
きき腕(右利きの場合は右腕)にそっと意識を向けていきます。
この時、あるがままにぼんやりと注意を向けるようにしましょう。
ゆっくりとイメージしながら下線部を心の中で唱えます。
気持ちが落ち着いている 気持ちが落ち着いている 気持ちが落ち着いている
きき腕が重たーい きき腕が重たーい きき腕が重たーい おもたーい
きき腕が温かーい きき腕が温かーい きき腕が温かーい あたたかーい
気持ちが落ち着いている 気持ちが落ち着いている
(※オプション) (※オプション) (※オプション)
※オプションは、下記にある「11.オプションについて」を参考にしてください。
それでは、消去動作をして、ゆっくりと目を覚ましていきます。
手に力を入れて、握りこぶしを作ります。今度は、ぱっと開きます。
もう一度、握りこぶしを作って、ぱっと開きます。もう一度、握りこぶしを作って、ぱっと開きます。
ひじの屈伸運動をして、手を伸ばし、深呼吸をしながらゆっくりと目を覚まします。
ここまでが一回です。
同じことを2、3回、繰り返します。時間は3回で3分〜5分が目安です。
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消去動作が必要な理由は、練習中の脱力状態を普段のレベルまで戻し、終了後の活動を
スムーズにするためです。
尚、ベッドなどに寝転んでそのまま眠るような場合には、消去動作の必要はありません。
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@ 気持ちが落ち着いている ×3回
A 第一公式 両腕両脚が重たい ×3〜4回
B 第二公式 両腕両脚が温かい ×3〜4回
C 気持ちが落ち着いている ×2回
D 第三公式 心臓が規則正しく打っている ×2回
E 第四公式 楽に呼吸をしている ×2回
F 第五公式 お腹が温かい ×2回
G 第六公式 額が涼しい ×2回
H 気持ちが落ち着いている ×2回
I オプション ×3〜4回
J 消去動作
実は、第一、第二公式までができれば、
自律訓練法のほぼ90%ができたことになると言われています。
90%という数値を見れば、続ければそれだけでも効果は大だということです。
始めるにあたって効くと信じる気持ちも効果を上げます。
自律訓練法は自己暗示の一種ですから、前向きな気持ちで行うことが必要です。
自律訓練法はとてもよいものですが、自律訓練法だけに頼るのではなく、
その症状にあった対応もなさってくださいね。
練習が正しくできるように書いたつもりですが、
できることなら指導者から教えてもらうことをお勧めします。

お読みいただき、ありがとうございました。
肩こりなど具合の悪かったあれこれの症状が徐々にマシになりました。
体調がよくなってきたとはっきり感じるまでに半年以上かかりましたので、
あせらないことも大事な要素かもしれません。
文中にも書きましたが、効果が実感できないからよくないということではなく、
効果が現れない方にも良いものとされていて、一流のスポーツ選手、
NASA、心療内科など各方面に取り入れられています。
どうぞ、効く効かないという意識は持たずに、前向きに継続してみてくださいね。
自律訓練法が、すこやかな心と身体を取り戻すきっかけになればと思います。

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自律訓練法のホームページを作るに当たって、私が通った講座の
青木 洋二 先生にご協力をいただきました。
青木先生、ほんとうにありがとうございました。
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